立原正秋は私が最も好きな作家の一人。
その中でも最も好きな作品のひとつがこの「残りの雪」。
~あらすじ~
ある日突然夫に蒸発された主人公の里子は、幼い子供を抱えながら鎌倉の実家に身を寄せる。
そんなときに通称「紙屋」という男と運命的に出会う・・・・。
~
主人公の里子と男とが運命的ともいえる恋に落ちながら、
そのさらに先を自分で選んで生きていこうとするさまが他にはないと思う。
「恋愛小説」なんていうものを、自分から求めて読むことはない私だけども
この本だけは折にふれ読み返して、この二人のような生き方が出来るかと時々確認したくなる。
そして、もうひとつの読みどころは和服や自然を通して日本の四季が美しく描写されていること。
鎌倉だったり京都だったりと、このような情景はなかなか昨今はお目にかかれないし
立原正秋の小説のなかでも、特に本作は秀逸。
里子と男が一線を越えようとするときの
「・・・・あなたは目について仕方がない人です・・・・・・・」
と言った男に
「・・・・・・目につかないようになさればよろしいのではございませんか」
このやりとりがとても好きで、いつかやろうと思っている(爆!!)